海の豆知識Vol.84  

県の魚-その10-
---近畿・中国編②---

 県の花や県の鳥の様に、全国の都道府県の内、半分以上の県がシンボルとして「県の魚」を制定しています。またシンボルとしての「県の魚」とは別に、それぞれの県の特色ある複数種を選定した「旬の魚・四季の魚」を制定しているところもあるほか、各県の漁師・JFグループが選ぶ「プライドフィッシュ」もあります。
 今回は、和歌山県と広島県の「県の魚」と「プライドフィッシュ」を紹介します。

和歌山県「マグロ」
イラスト:那智の滝を背景にマグロ マグロが「県の魚」として、1987年6月20日に県民投票により選ばれています。
 プライドフィッシュのホームページには次のように記載されています。
 和歌山県は、太平洋に向かって大きく張り出した紀伊半島の西部に位置しています。
 四国との間には、魚の宝庫のような紀伊水道をはさみ、南へ伸びる海岸線は太平洋の黒潮に洗われ、古来より海と大きな関わりを持っていました。しかも、紀伊半島はその大部分が山岳におおわれて、平野は海岸沿いの狭い部分にしかありません。そのため漁業は、林業と並んで大切な産業となっています。海のすぐ近くまで押しせまった山々は、深く入り組んで、リアス式海岸となり、湾のなかにはたくさんの漁港がつくられています。約640kmの海岸線には、95の漁港があり、大勢の人々がこの漁港を利用して漁業に従事しているのです。狭い国土に多数の人口を抱えている日本では、魚は大切な動物性タンパク源です。どうすればより多くの魚を、より労力を省いて獲ることができるだろうと、昔からいくつもの漁具・漁法が工夫されてきました。しかしながら現在では、獲るだけの漁業ではなく、つくり育てる漁業や水産資源を持続的かつ合理的に利用する資源管理型漁業、さらに流通や加工にも積極的に取り組んでいます。
 また、プライドフィッシュでは、春のケンケン釣りカツオ、夏の銀鱗の太刀、秋の和歌山県産しらす、冬の紀州勝浦産生まぐろ/和歌山県産イセエビがそれぞれ選ばれています。

和歌山県ホームページ〉・・・〉和歌山県のシンボル
 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/symbol.html
プライドフィッシュ公式サイト「和歌山県」
 http://www.pride-fish.jp/JPF/pref/index.php?pk=1447379748

イラスト:平和公園を背景にまどろむカキ広島県「カキ」
 カキが「県の魚」として、1990年9月6日に選ばれています。広島のカキは、約450年前から養殖されている、代表的な水産物です。
 プライドフィッシュのホームページには次のように記載されています。
 日本最大の内海として、700以上の島々と7,230kmにも及ぶ長い海岸線を持つ「瀬戸内海」。大小の島々や入江によって生じる変化に富んだ潮の流れが、豊かな漁場を形成しています。安芸灘、備後・芸予瀬戸、それぞれの海域で特徴のある漁業が行なわれており、特に安芸灘(広島湾)での「カキ養殖」は生産量日本一。全国のカキ生産量の約半分を占めています。その他にも、全国的には煮干しとして知られ、県内では刺身でいただくことも多い「小イワシ」や、ちりめんじゃことして親しまれる「しらす」も豊富に漁獲。豊かな海の恵みを守るため、瀬戸内海沿岸の県と協力した資源管理活動にも積極的に取り組んでいます。
 また、プライドフィッシュでは、春の広島桜ダイ/広島手掘りあさり、夏の三原やっさタコ/広島の小イワシ、秋の広島銀太刀/チヌ(クロダイ)、冬の広島かきがそれぞれ選ばれています。

広島県ホームページ〉・・・〉広島県のシンボル
 https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/19/kids-02.html
プライドフィッシュ公式サイト「広島県」
 http://www.pride-fish.jp/JPF/pref/index.php?pk=1414379761

※各都道府県の公式ウェブサイトにおいて、県の花や県の鳥と同様に、都道府県のシンボルとして紹介されているものを、「県の魚」としています。
注)県のシンボルが掲載されているウェブページ(URL)は、本紙発行時のもので、予期せず変更されることがあります。

珪藻② ~海洋表層循環の指標

 珪藻は地層中に出現する種によって地質時代を決定できるのはもちろんですが、過去から現代までの環境の変化の指標としても利用されます。海洋に生息する珪藻の地理的分布は表層水塊に対応していることが知られています。私たち日本人に身近な例を挙げると、温暖な黒潮と寒冷な親潮の境界では水温・塩分などの水塊の性質が大きく異なり、それぞれの水塊に応じた珪藻群集が生息しています。海底に堆積している珪藻化石の群集組成も堆積当時の水塊の性質を反映しているため、各海域における各時代の群集組成の変化を解析することで過去の海洋の表層循環の変遷を復元することができます。またそのような情報から、地質時代の地殻変動による海峡の形成・閉鎖と海洋表層循環との関係を推定することができます。
 日本列島は2500万年前にユーラシア大陸の東端が裂けて分離することで形成されました。日本列島の日本海側には中新世の中期から後期(1300万年前からの数百万年間)に堆積した珪藻が厚い地層を形成しています。これは約2500万年前から1500万年前にかけて、日本海が形成され、北部に栄養塩に富む海水が流入したことで珪藻が大発生したためです。日本の油田は新潟県や秋田県、そして北海道の石狩と日本海側に多く見られますが、これは中新世に堆積した珪藻由来の有機物が石油のもとになったと考えられています。輪島塗の下塗に使用される地の粉には能登半島に分布する珪藻土が用いられていますが、この珪藻土も元をたどればこの時代に形成されたものなのです。

(中央研究所 海洋環境グループ 池上 隆仁)

日本国内の主な油田

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