|
|
---クジラ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
今回は、クジラ(鯨、whale)です。クジラ目に属する水生の哺乳類の総称で、その形態からハクジラとヒゲクジラに大別され、世界で80数種いると言われています。ハクジラの中でも比較的小型の種類は、イルカと呼ばれます。
クジラの名前の由来は古く、古事記に「久治良」、また、万葉集には「鯨魚」、「不知魚」などという白黒色の得体の知れない大きな生き物を指す名が登場しています。
クジラの語源は、弔事等で用いる鯨幕の元になったように、体色に由来する説の他に、口が広いので「口広」が訛ったものとするものもあります。漢字では魚偏に大きな意味を表す「京」を付け、「鯨」と書きます。
クジラの先祖は、かつて陸上で生活していたとされていますが、その後水中生活に適応し、優れた体温調節、潜水、摂食、授乳、睡眠などの能力を有する生き物に進化しました。
日本でのクジラの利用は、食品はもちろん、工業品、工芸品、医薬品など多方面に及んできました。特に、鯨肉は江戸時代にも庶民の間ではたいへん人気がありました。
水無月や鯛はあれども塩くじら 松尾芭蕉
大名も切り売りを買う塩鯨 (誹風柳多留)
|
|
一頭の鯨は七つの集落を潤おすこと。大きい獲物は巨利と経済的波及効果をもたらす。
形の大小はあっても仲間に変わりはない。外見で軽重を判断したり、差別をしてはならないという教え。「鯨と鰯」と表面は似ているが、意味は正反対。四つ足禁制の時代、クジラを魚として抵抗なく食べたのであろう。
大きな鯨でも小さい魚の骨が刺さり苦しむということ。絶対に安全ということは有り得ないことのたとえ。
多量の飲食を一度にすること。鯨が水を飲むように大酒を飲み、馬が餌を食むようにたくさんの食物を食べることのたとえ。
「現代おさかな事典」エヌ・ティー・エス、二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
大型魚の好む水温~野外実験にて~(1) |
これまでに海生研では室内実験によって、30種類以上の魚の好む水温を調べてきました。これらの結果の一部は、海の豆知識Vol.1~4でも紹介されています。しかし、室内実験では扱える魚の大きさには限度があり、実際に漁獲される大きさ、例えばブリのような体長70cmもある大型魚を扱うことが困難でした。
そこで大型魚の好む水温を調べるために、発電所放水口前面の温排水拡散域内に生簀を設置して、野外実験を行いました。直径12m、深さ8~9mの円形生簀を、海面から3~4m程度の厚さで温排水が流れる様な地点に設置しました。遊泳した水深とその水温を記録する機器を装着した魚を生簀内に入れ、魚が選ぶ水温を追跡しました。この様な実験を水温の異なる時期に行い、魚の好む温度を調べました。
次回、ブリの結果をお見せしましょう。
(事務局研究調査グループ 山田 裕)
発電所放水口前面に設置した生簀(左)と
魚の背中に装着した測定機器(赤矢印の先;右)
|
|