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---サケ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
今回は、サケ(サケ目サケ科サケ属、学名:Oncorhynchus keta,英名:chum salmon)をご紹介します。サケは、一般にシロサケ、アキアジ、アキサケとも呼ばれており、サンマとならび秋を代表する魚です。
サケは、日本人にとって古くから馴染みのある魚で、縄文時代初期から既に利用され、縄文時代後期になると、おそらく簗を用いた大規模なサケ漁が行われていたようです。特に北海道のアイヌ民族は、サケをカムイチャプ(神の魚)として尊び、食料としてのみならず、その皮を衣服や靴などの材料としても活用していました。北海道のみならず、日本には東北地方や北陸地方を中心に、サケに関する信仰や民話などが数多くあります。またサケは、災いを「避ける(サケる)」を意味することから、珍重されている地域もあります。
サーモンピンクと言われるように、その身が赤いサケですが、赤身魚ではなく白身魚に分類されます。その赤い色は、マグロなどのミオグロビン(たんぱく質の一種)ではなく、餌として摂取された甲殻類に含まれるアスタキサンチン(色素の一種)によるもので、抗酸化作用など、注目されています。
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四不屑の諺。この四つには屑がない、捨てるところがないということ。平家が栄華を極めていた頃の言葉であろうか。平家は既になく、法華経は良く知らないが、昆布はすべて食べられるし、「鮭に捨てるところなし」ともいう。
サケのこと。凪の日はサケが動かず網に入らない。海が荒れ、潮加減が変わるとサケの動きが活発となって、網によくかかり豊漁になるという。
サケは「秋味」と呼ばれるくらいに秋が旬。その時をわきまえずに回遊して来て、四~六月、主に北海道沿岸で漁れるサケの異名。「時季知らず」とも書き、「時鮭」「春鮭」ともいう。俗語的には、そう親しくもない者が、昼飯時に他家を訪問するような、時をわきまえないことにいう。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載
植食性動物と海藻類の種間関係(3)―アイゴが食べる海藻の選択性、および水温や季節性との関係― |
水温が上昇する春から初夏(4~6月)と下降する秋から初冬(10~12月)にアイゴが食べる海藻の選択性への水温影響(14~29℃)を、5種のホンダワラ類を用いて調べました。アイゴは、ジョロモク、マメタワラ、ヤツマタモクを好んで食べ、オオバモク、ヨレモクはあまり好みませんでした。これらの海藻の選択性には水温の影響は認められませんでしたが、好む海藻の順位は、通年最下位のヨレモク以外、季節によって入れ替わります。4月にはジョロモク>マメタワラ>ヤツマタモクの順で選択性が高いのですが、6月ではこれら3種をほぼ同様に選択します。また11月にはヤツマタモクよりもオオバモクを好むようになります。このような選択性の変化には海藻の成熟状況が関係しているようです。アイゴは“旬”の海藻を好むのでしょうか。
(中央研究所海洋生物グループ 島 隆夫)
4月(水温20℃)にヤツマタモク(A)とジョロモク(B)を
アイゴに同時に与えると、ジョロモクに対して強い選択性を示す。
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