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---カマス---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
今回のテーマはカマス(スズキ目カマス科カマス属、和名:■、英名:Barracudaバラクーダ、学名:Sphyraena)で、アカカマス(赤■)とヤマトカマス(青■)が、その代表です。
カマス類は、体が細長いこと、背びれを2基もつことなどの特徴を備えますが、最も印象的・特徴的なのは、大きな口と犬歯状の鋭い歯です。
食性は肉食で、主にカタクチイワシや藻場に生息する小魚や小型のエビ・カニ類を捕食し、生後2年で30㎝前後になります。
一般にカマスという場合はアカカマス(赤■、英名:Red barracuda)を指すことが多く、体の背面が赤みがかっているためにアカカマスと呼ばれ、体側に1本の黒っぽい帯を持っています。主に定置網で周年漁獲されますが、瀬戸内では秋に多く漁獲されます。
ヤマトカマス(青■、学名:Sphyraena japonica)は体側背面が青っぽい灰褐色で、体側に帯は無く、腹面は白色で身が軟らかく、東京ではミズカマスと呼ばれ、九州西方で主に底曳き網で7~11月に漁獲されます。
両種類とも生鮮もののほか、一夜干し、干物、かまぼこなど練り製品に加工されることが多く、生鮮魚は夏から秋にかけてが食べ頃で、白身のあっさりした味で、刺身や塩焼きにされ、また干物は極めて美味です。
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「ひと群れ千尾」。カマスは大群で回遊する。千尾は一つの表現であろうが、常に大集団。ただし足が速いので、一尾釣ったら手返しよく釣るのがコツ。「イナダ一尾、底に千尾」と全く同じ言葉がある。イナダはブリの若魚。アユに「一跳ね千尾」、トビウオには「一尾飛ぶと下に千尾」の類語がある。
魚の干物は和食の総菜料理の代表。旅館の朝食には必ずと言っていいくらい干物が出てくる。水分の多い魚は、干す、焼く、漬ける(塩・粕・味噌・糠など)ことで水分を流す。「■の焼き食い一升飯」のカマスは、干しカマスを焼いたもの。
カマスには普通、赤■(アカカマス=アブラカマス)と青■(青カマス=ヤマトカマス=ミズカマス)があり、「■が旨くなるのは初冬の頃から」と、前者は冬が旬。「霜降り■」は、脂肪が霜降り状に乗ったアカカマスの初冬の味を称える言葉。この言葉の霜降りは両方に掛かっている。後者は夏が旬だが一般的にみて赤カマスの方が美味。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
飼育生物こぼれ話(5)オニオコゼ |
強面(こわもて)のオニオコゼは、岩陰に潜んで餌である小魚を待ち伏せします。中には先に所在がばれてしまいそうな派手な個体がいて、傍目には驚きものでした。派手な個体は地味な個体より深い場所にいるようで、深所では赤色系が保護色になることと関係があるかもしれません。背鰭(せびれ)の棘(とげ)には猛毒があるので要注意ですが、測定する時などは、どうやって触るのでしょうか? ご安心あれ、水槽ではほとんど動かず、また麻酔剤の効きは良好で、素手で採血することもできました。
(実証試験場 応用生態グループ 磯野 良介)
新潟県佐渡市真野湾で採集されたオニオコゼ
(左:派手?、右:地味?な個体)
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