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---東北編①---
県の花や県の鳥の様に、全国の都道府県の内、半数以上の県がシンボルとして「県の魚」を制定しています。またシンボルとしての「県の魚」とは別に、それぞれの県の特色ある複数種を選定した「旬の魚・四季の魚」を制定しているところもあります。
ここでは「県の魚」※にまつわるお話しをしましょう。今回は、東北地方です。
※各都道府県の公式ウェブサイトにおいて、県の花や県の鳥と同様に、都道府県のシンボルとして紹介されているものを、「県の魚」としています。
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東北地方南西部に位置し、日本百名山に数えられる秀麗な山々に囲まれ、県中央を流れる「母なる川」、最上川が日本海にそそぐ山形県。この県の魚は、サクラマス(学名:Oncorhynchus masou masou)です。
サクラマスは、オホーツク海沿岸から朝鮮半島・北日本まで分布するサケ目サケ科の魚です。サケと同じように川で生まれた後、海に下って成長し、再び川を遡って産卵しますが、桜が咲く春に川を遡ることから、サクラマスの名前がついたとも言われます。しかし川で育った幼魚の一部には、海に下らず一生を川で過ごす魚もいます。河川残留型と呼ばれるこれらの魚は、一般に「ヤマメ」と呼ばれています。
山形県ホームページによると、山形県の水産への理解と親しみを深め、県内産の魚介類のイメージを高めて水産業を発展させること、また、庄内浜や最上川などの山形県の豊かな自然をアピールするため、山形県の自然をイメージさせる10種類の魚から県民投票により、平成4年3月に選ばれました。全国的に資源が減少しているサクラマス。山形県でも資源回復に向けた様々な取り組みがなされています。
▶山形県ホームページ〉…〉山形県のシンボル
http://www.pref.yamagata.jp/bunkyo/bunka/about/803symbol.html
本州最北端に位置し、中央に陸奥湾を抱え、西は日本海、東は太平洋、北は津軽海峡に囲まれた青森県。この県の魚は、ヒラメ(学名:Paralichthys olivaceus)です。
ヒラメは、北海道から日本南部、朝鮮半島や南シナ海に分布するカレイ目ヒラメ科の魚です。主に沿岸部の水深100~200mの砂泥域に生息し、体は扁平かつ楕円形で両眼とも左側にあり、体長は70~80cmに達します。生まれた時は、他の魚と同様に、両側に目がついていますが、体長が10mm程度に成長する頃から右目が移動しはじめ、25mm程度になると親魚と同じ形になります。
青森県庁ホームページによると、つくり育てる漁業を進める青森県を代表する魚として、1987年(昭和62年7月)に県の魚に選ばれました。その後、県内の漁業者や関係者の方々の努力により、つくり育てる漁業を推進し、資源管理を徹底した結果、漁獲量日本一となっています。また、独自の技術を用いて鮮度と旨さを極上化した青森県産の天然ヒラメは、通称「青天(あおてん)ひらめ」として、ブランド化が進められています。
▶青森県庁ホームページ〉…〉青森県のシンボル
http://www.pref.aomori.lg.jp/k-kensei/symbol.html
注)県のシンボルが掲載されているウェブページ(URL)は、本紙発行時のもので、予期せず変更されることがあります。
化学物質の海生生物への影響を調べる(5)-毒性影響試験紹介のまとめ- |
海の豆知識63号から66号にかけて海に生息する海藻類、甲殻類、魚類への化学物質の毒性影響を把握する試験について紹介しました。人間は生活しながら家庭や職場から多くの化学物質を排出しています。海はそれら化学物質の最終的な到達点となっており、それら化学物質が海域の生態系に負の影響を及ぼすことが懸念されています。紹介した試験法は、実用的であることを念頭に置き、且つ経済協力開発機構のテストガイドラインや水産庁の海産生物毒性試験指針に記載された試験法に準拠して作成しました。これらの試験から得られた情報は、毒性影響を評価する際の基礎データとして活用することができます。
今後も化学物質と海生生物との関係について調査・研究を行い、データの蓄積・解析を進めたいと考えています。
(中央研究所 海洋生物グループ 岸田 智穂)
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