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---クラゲ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
今回は、クラゲ(水母、海月、水月、英名:Jellyfish)です。刺胞動物門と有櫛動物門に属する、淡水または海水中に生息し、着底・浮遊生活をする動物の総称です。クラゲの仲間は体はゼラチン質で柔らかく透明で、様々の形や大きさのものがいます。多くの種は、若いうちはポリプというイソギンチャクのような姿で人工構造物や貝殻上などに付着して暮らし、成長すると傘のような姿で水中を優雅に漂うプランクトンとして生活しています。
クラゲは基本的には雌雄異体です。刺胞動物門のクラゲは刺胞細胞を体全体に有しており、夏の海水浴でうっかり近寄り、刺されて痛い思いをされた方も多いのではないでしょうか。
見て癒し 触れれば痛い まるで恋?
(夏の風物詩:クラゲ川柳/新江ノ島水族館より)
水産物としては、東南アジア、特に韓国・中国で一部の種類のクラゲ(ビゼンクラゲ、エチゼンクラゲ、ヒゼンクラゲなど)の塩蔵したものを水で戻し、酢の物や和え物として食したり、加工食品として利用しています。また、学術(分子生物学)の分野では、2008年の下村博士のノーベル化学賞受賞に貢献したオワンクラゲの緑色蛍光タンパク質の発見が有名です。
しかし、一部のクラゲの大量発生により、漁網が破損したり、発電所の取水口を詰まらせるなど、漁業操業やエネルギー産業における迷惑生物でもあります。
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骨のないクラゲも、長生きしていれば、骨に出会い骨のある身になるかも知れない。
長く生きていると、滅多にない幸運に巡り合うこともあるという意味。また、命を粗末にせず、長生きするよう心掛けるようにという教え。
水面にふわふわ浮かぶクラゲが風上に向って進もうとしても無理なことから、強敵や運命に逆らってじたばたしても無駄なことの例え。
言うも愚かな当然のことや、分かり切ったことの例えにいう。
クラゲには骨も目もないが、「水母は海老を目とする」「水母は海老の目を借る」と、泳ぐクラゲは持ちつ持たれつの生活をしていると例えられる。
勝手気ままに泳ぐさまをいう。これに対する諺に、「鯒の行列」(一、二列縦隊になって行儀よく並び泳ぐさまをいう)がある。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
大型魚の好む水温~野外実験にて~(3)ブリが好む水温範囲の季節変化 |
前回ご紹介した発電所放水口前面の温排水拡散域内に設置した生簀(円形、直径12m、深さ8~9m)を用いたブリの温度反応試験の結果、温排水による水温上昇に対するブリの反応行動は、冬季(低水温期)と夏季(高水温期)で異なることが分りました。そこで、季節を変えて実施した計7回の試験の結果に基づき、生簀内の水温条件の季節変化に対して、ブリが選好する(好んで選ぶ)水温範囲がどのように変化するかをまとめてみました。
生簀内の水温は、表層を流れる温排水の影響によって、海面付近で高く、水深が増すにつれて低下します。下図では、生簀内の水温範囲(最低水温~最高水温)を水色で示し、さらに生簀内のブリが選好した水温範囲を緑色で示しています(ともに回帰直線を当てはめて求めたおよその範囲)。ブリは、生簀内の水温が全体的に低い冬季などには、生簀内の水温範囲のうちの温かい方(温排水によって水温が上昇している範囲)を選びますが、生け簀内の水温が高くなるにつれて、徐々に高水温を避け、冷たい方(温排水による水温上昇が少ない範囲)を選ぶようになります。このように、ブリは温排水によって生じた水温変化(勾配)の中から、好適な水温範囲を選択して遊泳することが分りました。
(中央研究所海洋環境グループ 三浦雅大)
図 生簀内の水温範囲とブリが選好した水温範囲(夜間の結果)
昼間はブリが表層の明るさを避ける傾向があったため、夜間の結果を用いて作図した。
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