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---ニシン---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話しましょう。
今回のテーマは、鰊(ニシン、ニシン目、ニシン科)です。
日本海から北太平洋にかけて、また北大西洋などに広く分布し、一部は海とつながった湖沼でも生息しています。産卵期は3~6月で、沿岸の岩盤や砂地の藻場で産卵します。成熟した卵巣がいわずと知れた“カズノコ”です。ニシンの食文化は他にも“身欠き鰊(みがきにしん)”となって日本各地にありますが、そのほとんどは北海道で獲れたものです。しかし、全盛期100万トンを超えていた水揚げも、昨年は1千トン程度まで激減しています。このため、1996年から北海道が日本海沿岸で捕獲制限を呼びかけたり、孵化(ふか)させた稚魚の放流をはじめ昨年は160万匹を海に帰しました。 |
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「鰊模様」ともいう。北海道の早春(2月末~4月)の、ニシンが取れる頃のどんよりと曇った空模様のこと。何故かニシンは晴天の日より雲が低く垂れこめ、雲量10(空一面を雲が覆い、切れ間が少しもないこと)の日に産卵のため接岸する。イワシとは反対の傾向にある。
ニシンと筍は、共に早春が旬。食べ合わせ・取り合わせのどちらも吉。仲がいいこと、気が合うことの例え〈青森地方の言葉〉。「鰊に昆布」も取り合わせのよいことの例え。
また、ウドの酢味噌和えにニシンを添えると、一層美味であることから転じて、夫婦仲のよいことの例え。
江戸・明治から昭和の中期まで北海道はニシンの黄金時代であった。江差町はその代表的な存在で“江差追分”が生まれ、昼夜の別なく“ソーラン節”で浜は沸き返り、銭函を積み上げた。そのニシン景気の豪華さ、派手さ、強気、豪気さを端的に表現した言葉。官民は潤い紅灯も賑わい、それは将軍のお膝元、江戸も遠く及ばなかった。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
温排水に集まる魚(2) |
発電所の温排水放水口に周年にわたって集まる魚(タイプ1、Vol.18参照)のうち、ギンガメアジについて採集調査を行いました。
ギンガメアジなど、タイプ1の多くの魚は南方系です。熱帯・亜熱帯海域で産み出された卵や稚魚が黒潮や対馬暖流によって温帯域に運ばれてきたもので、通常は低水温のために越冬できないと考えられます。図は、放水口近くで採集したギンガメアジのえら蓋の骨です。この骨に形成された年輪から年齢を推定した結果、この場所で越冬して生息しているとみられる1~3歳の個体も多いことが明らかになりました。
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