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---カニ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
今回は、カニ(蟹)をご紹介します。カニは、十脚目の内、一般に短尾下目(カニ下目)に属する甲殻類の総称です。熱帯域から極域、浅海から深海にいたる世界中の海に様々な種が生息しており、食用となる種も数多くいます。また、タラバガニ(学名:Paralithodes camtschaticus)やハナサキガニ(学名:Paralithodes brevipes)などは、同じく十脚目の内、異尾下目(ヤドカリ下目)に属しますが、水産業などの産業上、「カニ」として扱われています。
一般にカニの旬といえば、多くの方々は冬を思い浮かべるでしょう。例えばズワイガニ(学名:Chionoecetes opilio)は、「冬の日本海」の代名詞とも言えますし、鍋料理と言えば「カニ鍋」など、冬はカニを楽しむ機会が多いかもしれません。しかし、春~夏にかけて美味しいカニもいます。例えばケガニ(学名:Erimacrus isenbeckii)は、北海道沿岸各地から茨城(太平洋)、島根沿岸(日本海)までの水深30~200mの砂泥底に生息しています。国内では、主に北海道沿岸や岩手沖で漁獲されます。各地で漁期が異なることから、ほぼ一年を通して水揚げされています。オホーツク沿岸では、春から夏が漁期にあたり、まさに旬と言えます。またガザミ(学名:Portunus trituberculatus)は、ワタリガニとも呼ばれ、北海道南部以南の日本沿岸、水深30m程度までの砂泥底に生息しています。晩冬から春にとられた産卵前の雌ガニは、内子(卵)がたっぷり詰まっていて絶品です。
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寸法がピタリと合うことの例え。褌とはカニの尾に当たる部分が、腹部に三角型に巻き上がっていて、その形からの俗称。雄のは三角形をしているから、まさに褌だが、雌は筍状のふくらみがあるので、腰巻といった方がよく似合う。これが雌雄鑑別の決め手。なお「褌」は、「袴」や「前掛け」とも呼ばれる。
慌てると失敗することが多いから、何事も落ち着いて処理せよ、の戒め。「迷うがりまの穴入らず」〈八丈島地方の諺〉は、気迷いばかりしている者は、身を落ち着けることが出来ないことに例えたもの。「がりま」はカニのこと。
「猿の木登り、蟹の横這い」。自然に逆らわずに行動するのが何事も得策ということ。また、傍から見れば如何にも不自由そうだが、本人はその方が楽であることの例え〈後撰夷曲集〉。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
化学物質の海生生物への影響を調べる(1)-植物プランクトンを用いた生長阻害試験- |
人が生活の中で使用している様々な化学物質は、排水や雨水に混じって河川そして海に流れ込むことがあります。それら化学物質が海産の植物プランクトンの増殖に与える影響を調べる方法について検討しました。使用した植物プランクトンは、アサリなどの海産二枚貝の餌として広く培養されているPavlova lutheriとChaetoceros gracilisです。濃度の異なる化学物質が入ったフラスコを6個用意し、その中に植物プランクトンを同じ密度になるように各フラスコに入れて試験を開始しました。試験開始24、48、72、96時間後に各フラスコ内の植物プランクトンの密度を測定し、化学物質が入っていない場合と比較して増殖が半分に抑えられる濃度を算出しました。既往知見と比較した結果、今回使用した植物プランクトンの化学物質に対する感受性は、他の植物プランクトンと比較して概ね同様であることが分かりました。
(中央研究所 海洋生物グループ 岸田 智穂)
Pavlova lutheriの写真。
直径は、0.005mm程度 |
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トリブチルスズ化合物を
用いた試験の風景 |
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