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---タイ---
今回は、タイ(スズキ目タイ科の総称、和名:鯛、英名:sea bream)をご紹介します。
一般的にタイというとマダイをさしていうことが多いですが、日本産のタイ科の魚は13種あり、特にチダイ、キダイはマダイに似ているのでマダイの代用品とされています。また、和名の一部にタイと付く魚は約300種もあり、アマダイ(スズキ目アマダイ科)、イシダイ(スズキ目イシダイ科)、キンメダイ(キンメダイ目キンメダイ科)などがあげられますが、これらは分類学的な近縁性は少ない魚です。
マダイは成長して桜の咲く季節に産卵のために内海や沿岸の浅瀬に移動し、雌は婚姻色の濃い桜色になるために、この時期のマダイは「桜鯛」と呼ばれます。桜の咲くころのマダイは最も旬の時期で、味のよい極上品といわれています。桜鯛は、俳句の春の季語となっており、正岡子規は「板の間にはねけり須磨の桜鯛」という句をよんでいます。
また、胸鰭のところにタイの形をしている「鯛の鯛」とか「鯛中鯛(たいちゅうのたい)」と呼ばれる骨片があり、他の魚にもありますがマダイのものが最も美しいとされています。
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瀬戸内地方では、五月中旬から六月上旬まで東・南東の風が吹いて雨が降らない。降っても少量。そしてタイの一本釣りの最盛期を迎える。漁に都合がよい気圧配置。
春の産卵期前は「桜鯛」として賞味されるタイも、産卵後は「麦藁鯛」といって犬も食わない。だがタイは一年中何処かで漁れ、かつ、季節によって漁れる場所が違うので、年中旨いタイが食膳に上る。
タイを賞味するなら、その骨までも舐め尽くす、というのが本当の食べ方。タイは骨付きのところが旨い。また、俗に「鯛の鯛」という主の形に似ている骨があり、「鯛の鯛を袂に入れておくと、小遣い銭に不自由しない」といわれている。
金田禎之著「四季のさかな話題事典」東京堂出版、
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
CO2が海洋生物に及ぼす影響(2) |
前号でミズクラゲのエフィラ幼生が非常に高いCO2耐性を持つことを紹介しました。エフィラ幼生は親クラゲと同じように傘を拍動させて泳ぎますが、海水のCO2濃度が高くなると拍動が弱まって遊泳できなくなります。下の図は通常の海水と高CO2海水で、エフィラの拍動回数を比較した結果です。高CO2海水中(CO2を1%および3%含むガスで平衡させた海水)では、いずれの場合も通常海水中にくらべ大きく拍動回数が減っていることが分かります。いずれも通常の海水の25~75倍以上の非常に高いCO2濃度ですが、正常な遊泳行動ができなくなると、うまく餌を食べられなくなる等の影響が出ると考えられ、その後の個体群維持にも何らかの影響があると予想されます。
(事務局 研究企画グループ 吉川貴志)
高CO2環境におけるミズクラゲのエフィラ幼生の遊泳拍動
(図中の%は試験海水に供給した気体に含まれるCO2の割合)
Kikkawa et al.(2010)より改変
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