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---ウミガメ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
今回は、ウミガメ(海亀、英名:Sea turtle)です。南極海を除く全世界の海洋に生息する大型の爬虫類であるカメの総称で、7種ほどが知られています。
生涯をほぼ海中で生活しますが、メスは産卵のためにのみ砂浜に上陸します。種類により異なりますが、底生動物、海綿、クラゲ、海藻(草)などを食べています。ウミガメの仲間は、リクガメと同様に、オサガメを除き硬い甲羅を持っていますが、オールのように長い前足で羽ばたき、海中を飛ぶが如く自由に泳ぐ姿は、見る者に優雅な生き物との印象を与えます。
日本では、古くから浦島伝説にも見られるように、たいへん馴染みの深い生き物です。食用としては、小笠原・沖縄諸島でのみアオウミガメが漁獲されています。また、かつては宝飾・工芸用のべっ甲細工にタイマイの甲羅が利用されました。
現在はウミガメ全体の生息数が減少したため、捕獲や取引は制限され、手厚い保護を受けています。人工的な繁殖・放流活動も各地で取り組まれていますが、産卵場となる健全な海浜環境を保全することが重要ではないでしょうか。
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出会うことが非常に難しいこと。また、有り得ないような幸運に巡り合うことのたとえ。百年に一度海面に浮かぶという盲目の海亀が、偶然に海上を漂う流木と遭遇し、その木の穴に入り込んだという仏教の説話による。
千年も生きると言われる鶴でさえ、万年を生きる亀には到底かなわない。上には上が居り、また、欲には限りがないもの。「鶴は千年、亀は万年」は長寿で縁起が良い場面で使う言葉。
この世にあるはずのないことのたとえ。亀の甲に毛が生えることはなく、また、兎の頭に角が生えることもないとの意から。
長寿の亀に比べれば人の一生は短いものかもしれないが、経験に富む年長者の知見は尊重するに値するものとの教え。
植食性動物と海藻類の種間関係(1) |
アラメやカジメ、ホンダワラ類などの大型海藻類で構成される藻場は、様々な魚介類の生息場、餌場として重要な役割を担っています。近年、この藻場が部分的にあるいは広域にわたり衰退する磯焼け現象が日本の各地から報告されています。その原因のひとつとして、植食性の魚類やウニ類が増加し、海藻類への採食活動が過剰になることが指摘されています。
それらの代表はアイゴ(下図左)、ガンガゼ(下図右)で、いずれも日本の暖海域に生息します。海生研では、このような動物と海藻類のあいだに成立する「食う・食われる」の種間関係が水温の違いによりどの程度変化するのか、あるいは変化しないのかを調べるために、さまざまな室内水槽実験を行ってきました。これから数回にわたり、それらの成果をご紹介します。
(中央研究所海洋環境グループ 馬場将輔)
海藻を食べる海の生物 (左:アイゴ 右:ガンガゼ)
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