|
|
---タチウオ---
海とその生物にまつわる名前の由来についてお話ししましょう。
今回は、タチウオ(太刀魚、立魚)、スズキ目タチウオ科タチウオ属、地方名:カタナ、ヒラガタナ、ダツ(秋田)、ハクウオ、ハクナギ(宮城)、タチノウオ(東京)、イトキリ(小田原)、タチンジャ(沖縄)など、英名:Cutlass fish(短剣魚)、Scabbard fish(鞘魚)をご紹介します。
この魚は、世界の温帯から熱帯にかけての沿岸に広く分布しています。その平らで細長い体形に加え、まばゆいばかりのメタリックな銀白色の体色から、多くは刀にちなんだ名前で呼ばれます。
また、水中で見ると、あたかも溺れかけているような印象を与える立ち泳ぎの姿に由来するとする説もあります。
全長は150cmに達し、水深100m前後の砂泥底上に生息しますが、時には海面近くまで浮上します。鋭い歯と大きな目を持ち、獲物を捕らえる時には、迅速に泳いで移動します。
体表の銀白色の光沢は、グアニン(タチ箔)という物質で、模造真珠、銀箔紙、マニキュアやアイシャドウなど化粧品の材料にも用いられて来ました。
主な漁法には、釣りや底曳網、定置網等があります。脂の乗る夏から秋がこの魚の旬です。鮮度の落ちやすいのが難点ですが、ビタミンやミネラルなど栄養価が高く、柔らかく淡白で上品な白身魚として人気があり、塩焼き、照り焼き、唐揚げ、ムニエル等でいただくと美味です。
国内では関西を中心に好まれるようですが、東アジア諸国でたいへん身近で人気のある魚です。
|
|
鎌倉幕府を倒した武将の新田義貞は、鎌倉攻めにあたり、引き潮を祈願して稲村ケ崎の海に太刀を投じ、勝利への突破口を開いたいう。タチウオはその太刀の生まれ変わりとする故事があり、川柳にもよまれている。
太刀の魚新田この方出来るなり
稲村が崎で取れるは太刀の魚
夜も更けた頃、ある一軒家に抜き身の刀を携えた強盗が押し入った。突然の「金を出せ」の声に布団をかぶり震えあがる主人。その時、飼い猫が勇敢にも身を挺して刀に跳びかかった。驚いた強盗は慌てて一目散に逃げて行く。見ると猫は強盗の残した刀をうまそうにムシャムシャと。刀に見えたのは、実はタチウオだったそうな。
お魚、何、食べてますか?(2) |
ダイオキシン類は、人間の産業活動や日常生活から非意図的に発生し、食物連鎖によって食品に蓄積し、食物を介して人間の体内に取り込まれます。海生研は魚介類中の濃度レベルを継続的に調査してきていますが、厚生労働省によると食品経由の摂取量は年々減少傾向となっており、下図のように国の基準(4pg-TEQ)を大きく下回っています。
近年、日本人の魚介類の摂取量は、減少してきています。水産白書(平成21年度)によりますと、購入数量の減少が大きく、厳しい家計状況の中で、魚離れが進んでいることがうかがえるとの解釈がなされていますが、魚介類に含まれる栄養成分や機能成分を効率よく摂取するためにも旬の魚介類をバランスよく食べることが重要です。
(事務局研究調査グループ 柴崎道廣)
|
|