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---九州・沖縄編①---
県の花や県の鳥の様に、全国の都道府県の内、半数以上の県がシンボルとして「県の魚」を制定しています。またシンボルとしての「県の魚」とは別に、それぞれの県の特色ある複数種を選定した「旬の魚・四季の魚」を制定しているところもあります。
ここでは「県の魚」※にまつわるお話しをしましょう。今回は、九州・沖縄地方です。
※各都道府県の公式ウェブサイトにおいて、県の花や県の鳥と同様に、都道府県のシンボルとして紹介されているものを、「県の魚」としています。
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日本の南西部かつ最西端に位置し、363の島々からなる亜熱帯の沖縄県。この県の魚は、タカサゴ(学名 Pterocaesio digramma)です。むしろ沖縄の方言名「グルクン」の方が、一般にも知られているかもしれません。
タカサゴは、伊豆諸島以南の南日本、東南アジア・インド洋に分布するスズキ目タカサゴ科の魚です。沿岸域の岩礁域やサンゴ礁に生息し、25~30cm程度にまで成長します。表紙のイラストのように、体は前後に細長い紡錘形で、頭部が小さくスマートな体型をしており、背と体側には2本の黄色い縦線があります。背側の体色は青緑がかっていますが、死んでしまうと急速に赤みがかり、魚体全体が赤く変化します。高知や和歌山では、「アカムロ」とも呼ばれています。
沖縄県公式ホームページによると、タカサゴは一年を通して漁獲され沖縄県の主要魚種であること、沖縄独特の追込網漁業で大部分が漁獲されること、沖縄では数少ない大衆魚として広く県民の食卓に普及しており、かまぼこの原料にも利用されていること、さらに沖縄の海を連想させる美しい色彩を持っており、味も良いという理由から、全国に先立ち昭和47年5月に県の魚に選ばれました。
▶沖縄県公式ホームページ〉…〉県のシンボル
http://www.pref.okinawa.jp/handbook/kutie.html
九州中央部西岸に位置し、有明海、不知火海、東シナ海に面した熊本県。この県の魚は、クルマエビ(学名 Marsupenaeus japonicus)です。
クルマエビは、北海道南部以南の日本近海からオーストラリア北部、南アフリカまでのインド太平洋沿岸に分布する十脚目(エビ目)クルマエビ科のエビです。水深15~25m程度の波が穏やかな内湾の砂泥域に生息し、昼間は砂に潜り、夜間に活動します。青灰色もしくは淡褐色の体色に暗褐色の縞模様が入っており、体を丸めた時にその縞模様が放射状になり車輪のように見えることから「車エビ」と呼ばれています。
熊本県公式ホームページによると、有明海や不知火海はクルマエビの全国的な主産地で、熊本県は全国に先駆けてクルマエビ養殖に取り組み、日本一の生産量を誇っていることから、平成元年12月に県の魚に選ばれました。
▶熊本県公式ホームページ〉…〉熊本県のシンボル
https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_3207.html
注)県のシンボルが掲載されているウェブページ(URL)は、本紙発行時のもので、予期せず変更されることがあります。
化学物質の海生生物への影響を調べる(2)-甲殻類を用いた遊泳阻害試験- |
甲殻類は水にすむ生き物のうち最も繁栄しているグループで、現在約4,000種が知られています。このため、海生生物に対する化学物質の影響を調べるためには、甲殻類は試験対象として欠くことができないグループであると言えます。水産庁の有害性試験マニュアルには、甲殻類を使った試験方法がいくつか示されており、このうち遊泳行動への影響を調べるのが、「遊泳阻害試験」です。シオダマリミジンコあるいはスジエビモドキが試験生物として推奨されており、ふ化後まもない幼生を実験に使います(写真参照)。
試験では、数段階の異なる化学物質濃度の試験液(海水に化学物質を溶かした液)が入った容器を準備し、その中に生物を入れます。そして24時間あるいは48時間経過した時点で、生物が遊泳できるかどうか観察します。過去の研究結果もあわせて調べてみると、甲殻類は、農薬など一部の化学物質に対しては、他の生物と比べて非常に敏感であることが分かっています。
(実証試験場 応用生態グループ 吉川 貴志)
シオダマリミジンコの幼生
(大きさ約0.1mm) |
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スジエビモドキの幼生
(大きさ約3mm) |
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