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---サヨリ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話しましょう。
今回のテーマのサヨリはダツ目・サヨリ科の海産魚です。
サヨリは日本全国の沿岸部、内湾、河口の汽水域などに分布し、主に動物性のプランクトンを食べ約2年で成魚となります。堤防や磯周りを回遊する1~3月がサヨリ釣りのシーズン。早春の産卵前と晩秋が旬の魚で、脂がのって美味しいです。サヨリは鮮度落ちが速いので、手早く三枚におろしたほうがよいといわれ、淡泊な白身で、「結びサヨリ」は椀だねに最高、大型は糸造りにしてもうまいし、にぎり寿しのネタにも使われます。そのほか、酢の物、昆布締め、天ぷらなどの食べ方があります。 |
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サヨリもキスも腹の内側が薄い黒膜で覆われているところから、腹黒い人を指す代名詞。「さより野郎」「さより女」は、見掛けは美しくても腹黒い人の形容。
サヨリは大きな群れを作って磯(岸)近くを回遊するが、警戒心が強く臆病な魚。人・船影を見るとサッと逃げてしまう。従って、晴れた凪の日よりも曇天か雨の日。かつ、潮の濁っているときが釣り時。
そして「針魚は一人で釣れ」「針魚はコマセて釣れ」ともいう。釣り人が大勢いるとサヨリは警戒して寄って来ない。またコマセて釣る魚ではあるが、大勢ではコマセが効き過ぎてサヨリはコマセで腹一杯。釣り人の餌は食べなくなる。釣りとは難しいものである。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
魚の繁殖生態(4) |
マゴチの繁殖行動を産卵期の6月にビデオカメラで観察しました。産卵時刻は17時前後でほぼ一定でした。この時刻前になると、全ての雄と産卵する雌が砂中から姿を現しました。先に雌1尾が浮上すると、1尾ないし数尾の雄が追尾しました。それぞれは旋回しながら浮上し雄が先に放精し、次に雌が放卵しました。雌の放卵は数回の浮上行動を繰り返した後に行われましたが、雄は放卵が無い場合でも放精しました。マゴチの雌を釣上げると、雄が水面まで追いかけてくることがあります。もしかしたら、雄は産卵行動と勘違いしたのかも知れません。ここで紹介した内容の映像は、海生研ホームページでご覧になることができます。
マゴチの受精卵(産卵後22時間、直径0.85mm)と孵化仔魚(孵化後48時間、全長2.88mm)。産卵水温24.4℃、発生温度23℃。 |
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