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---ブリ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
今回は、平成16年1月発行の海の豆知識18号(こちら参照)に続き、ブリ(スズキ目アジ科ブリ属、和名:鰤、英名:Japanese amberjack、Five-ray yellowtail、学名:Seriola quinqueradiata)をご紹介します。
ブリはイワシ・アジ等の小魚やイカ類などを食べる温帯域の回遊魚で、日本からハワイ沿岸までの太平洋北西部および日本海の水深100mまでに生息し、成魚は最大で体長1.5m、15kgにもなり、背骨に平行する黄色い線が特徴の魚です。日本付近では、春から夏にかけて北上する幼魚が、初冬から春になると南下し、成魚となって釣れることから、師走を旬として師走の「師」をとって鰤の字が生まれたと言われています。
ブリはスズキ、ボラ等とともに、代表的な出世魚であり、稚魚から成長により、その呼び名が変わることが多く、その呼び名は地域によって異なりますが、関東ではワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ、関西ではツバス → ハマチ → メジロ → ブリと、呼ばれることが一般的です。
また、ブリは出世魚であることから、鯛とならぶ祝魚であり、縁起の良い魚として、めでたい席や門出を祝う席でよく扱われています。
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和歌山地方の諺。それぞれ寒が旬で最も美味なとき。フナ、コイ、マグロ、スズキも寒に旨く、また「寒鮒寒鯔寒鱸」の言葉もある。「寒」というのは、暦とはズレがあり、春の彼岸まで漁獲されるものに「寒」が付けられて罷り通るのが、魚の世界。
いわゆる「一斗鰤」のこと。「一斗鰤」とは、漁獲地の北陸・能登で、米一斗とブリ一尾の値段がほぼ同値からの由来。それが山奥の飛騨にまで運ばれて来ると、米一俵とブリ一尾(約12kg級)が同じ値段になる。ブリは高いというのが通り相場。
中部地方で「腹を立てる」「不機嫌になる」ことを「いんぶりつる」という。また、「いんぶりそんぶり」といえば、不機嫌・無愛想なさま。このブリ(さま)を魚のブリに掛けて、人が怒ったときに、「怒った、怒った」とはやし立てる言葉、中部・佐渡地方の言葉。
単に「鰤を釣る」といえば、怒ってふくれっ面をする、すねること、広島県高田郡の方言。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
飼育生物こぼれ話(6)シオミズツボワムシ |
シオミズツボワムシは女の子だけ?
魚の種苗生産には稚魚の餌になる動物プランクトンが欠かせません。
海生研では、動物プランクトンの一種、シオミズツボワムシを稚魚の餌に使用しています。
ワムシは、餌料や温度などの生息条件が好適なときには、メスは交尾することなく、次々と産卵してメスばかりが生まれ育ってゆきます。
オスは生息条件が厳しくなったときなどに出てきて、メスとの間に耐久性に優れた卵がつくられ、種の保存が図られますが、この場合は増殖が抑えられるため、培養水の交換を頻繁に行い、オスが出現しないようにしています。
また、ワムシには大きさのちがう個体が存在します。飼育チームでは、大型(L型ワムシ)と小型(S型ワムシ)のワムシをそれぞれ培養しています。
シロギスなど小型卵を産む魚種のふ化後最初の餌は、摂餌可能な小型のS型ワムシを与え、成長とともに大型のL型ワムシに切り替えてゆきます。
(実証試験場 飼育チーム)
左:タイ国産S型ワムシ
(体長約0.18mm) |
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右:L型ワムシ
(体長約0.30mm)
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