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---イカ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話しましょう。
今回のテーマはイカ(烏賊)類です。
イカ類は世界の海洋に分布しており、およそ30科450種前後がすんでおります。特殊な種を除いてはコウイカ科、ジンドウイカ科(ヤリイカ類)、及びアカイカ科(スルメイカ類)の3科に別れ、主に蛋白食料資源として利用されています。 |
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イカ・タコの類は少々イキが下がっても中毒しない、ということらしいが、その一方で、「烏賊は船の上で食べよ」ともいう。一般に小魚類は鮮度に比例して旨く、大型魚は獣肉同様、熟成したころにより旨くなる。すなわち、やや大型の魚は一晩くらいおいて死後硬直が過ぎてからがいい。死後硬直中は硬いばかりで甘味もない。これらは、刺身(生)で食べることを想定しているが、新鮮な大型魚は煮ても焼いても、さして旨くない。
タコ・イカが孵化するのは春。「鮹の真水嫌い」で、彼等の大敵は雨。梅雨に雨が多い年は、海水の塩分濃度が薄れ、稚鮹、稚烏賊が死んでしまって不漁となることが多い。一般的には「梅雨時に雨が多ければ好漁」<図説日本民俗学全集>、「水害のある年は鰯の豊漁」で、豊漁に恵まれることが多いが、タコ・イカは例外。
熊本地方の漁師言葉。乗っ込み期(産卵期に深場から浅場に打ち寄せるように乗り込んで来る)の大鯛釣りに、活きたイカが最高の餌。だが皮肉なことに春・秋のタイの盛漁期にイカが思うように漁れず貴重品扱い。イカさえあれば大鯛が釣れる、イカがタイに化ける。「海老鯛」ならぬ「烏賊鯛」だが、地方によって餌は異なるもの。「いっぱい」は量ではなくイカを数える単位。一尾・一匹のこと。
釣りは餌を付けて釣るのがたて前。だがイカの場合、擬似バリ(角)を使い、如何にしてイカを釣るか。こうして釣れたイカは、イカ様さまというのでイカサマ<神奈川県地方の漁師言葉>。普通、“いかさま”は如何様物の略で「インチキ」をひねって読んだもの。頓馬をトンチキというのと同趣向。このチキは稚気の意とも受け取れる。一つの説として、イカの墨で証文を書いても一年経つと消えてしまうから、イカサマだ、ともあるが、これはイカサマ臭い。また、本来は如何様で、“どのよう”と状態・方法などについて疑問の意を表す言葉、とある一方で、詐欺のことともいう。すなわち、如何様師は詐欺師でもある。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
水温と海藻類の成長 |
海生研では、海藻類に関する野外や室内における様々な試験研究を行っています。
海藻類の多くは浅海域の海底や物体に固着して成長するため、地域的な環境変化の影響を受けやすい生物の一つと考えられます。
図は浅海域で藻場(海中林)を構成する種類であるアラメとカジメの室内試験結果の一部です。発芽体を10~25℃の4段階で20日間培養した結果、15~20℃付近に成長の適温範囲があることがわかりました。
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