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---イカナゴ---
海とその生物にまつわる名前の由来についてお話しましょう。
今回のテーマはイカナゴです。イカナゴは春を告げる魚のひとつです。スズキ目イカナゴ科に属し、北海道から九州沿岸に分布しています。なかでも瀬戸内海東部から大阪湾にかけては稚魚を対象として、3月に2週間程度の漁期で全国の漁獲量の40%以上を水揚げしています。この期間は、ある組合長曰く「イカナゴ戦争」の如くとか。1年で成熟しますが、水温が高くなると砂に潜って夏眠するという珍しい生態をもっています。 |
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イカナゴの語源としては、ある人がなんの子供(稚魚)なんですかと尋ねたことに、なんの子供(稚魚)であるか分からないので、“いかなこ(如何なる(魚の)子であるか)”と答えたことに由来するとする説が有力です。漢字名は「玉筋魚」と書かれることもあります。
地方名も多く、コウナゴ、カマスゴ、メロードと様々です。特に、東日本では成長するにしたがって、コウナゴ、オオナゴ、メロードと呼び名が変わりますが語源ははっきりしないようです。漢字では小女子、大女子、女郎人と付けられています。
関西ではこのイカナゴを使った釘煮が有名です。昭和10年頃神戸市垂水区の魚屋さんに「イカナゴを佃煮にしてくれないか」との依頼があり、イカナゴに醤油・砂糖(ザラメ)・生姜を使い、苦労して炊きあげたそうです。その後評判になり魚屋さんの店頭にも置くようになったとか。「釘煮」の名称は、昭和30年代半ば頃に神戸市垂水漁協の組合長さんが、出来上がりをみて「さびて折れ曲がった釘」のようだと言われたことが「くぎ煮」の由来であったとのことです。今では各家庭で我が家流「釘煮」を炊くようになり、関西に春をつげる風物詩のひとつとして挙げられています。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
実験魚を育てる(4) |
海生研では、実験魚の生産に関するさまざまな技術をまとめ「毒性試験に用いる海産魚の飼育および繁殖法」として、定量的なマニュアルを作りました。これにより、実験計画に即して必要な時期に必要な発育段階の供試魚を計画的に生産することが可能となりました。生産された受精卵、仔稚魚および成魚は種々の研究に用いられ、これまでに多くの成果を得ています。
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