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---ブリ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話しましょう。
今回のテーマは鰤(ブリ=スズキ目=アジ科)です。
大きさによりモジャコ、イナダ、ハマチなど異なった名前でよばれ、成魚では全長1mに達する。
小魚やイカ類などを食べる典型的な回遊魚であるため時速2~3キロの速度で移動するといわれている。
太平洋の漁場では房総半島以北で北上中の夏ブリを漁獲の主対象としているのに対して、相模湾以南では南下する冬ブリと春ブリを主に漁獲している。
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ブリは冬の魚。その頃の日本海は荒れる。十二月になって鉛色の雲が厚く低く垂れて海と続き、雷鳴が轟く。この雷鳴を「鰤起こし」という〈能登地方の言葉〉。北陸地方ではサケに代わって正月にブリが登場する。
日向宮野浦地方で、春の彼岸前後に北風が吹いた後、ブリの最漁期を迎える。そして春の彼岸まで寒ブリの扱い。しかし〈図説日本民俗学全集〉では、この北風は春の彼岸ではなく、冬の北風としている。こちらが正解であろうか。
嫁の里から送られて来るものは、大きなブリでもイワシのように小さく感じ、自分の娘やその嫁ぎ先に送るものは大きく見えるということ。また、娘の嫁ぎ先にブリを贈るとき、贈る方はかなり気張って大物を選んだつもりでも、貰った側ではイワシのように小さく感じる意、ともいう。さらに、嫁を貰って初めての正月には、嫁の実家にブリを贈ることを例とした。こちらは「嫁御ブリがいい」の暗号。出典が明らかでないが、ブリの贈答の習慣から推して北陸地方であろう。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
温排水に集まる魚(1) |
発電所の放水口には多くの魚が集まることから、九州西岸の発電所の前面海域で潜水して、魚の分布の様子と温排水の拡がりとの関係を調べました。
図のように、魚の分布は4タイプに分けられました。タイプ1は、周年にわたって放水口近くに分布します(ギンガメアジ、ハタタテダイなど)。タイプ2と3は、放水口近くにも離れたところにも分布して、前者は冬季に放水口近くで多くなる傾向を示しますが(メジナ、アイゴなど)、後者では季節的な偏りはみられません(ソラスズメダイ、ホンベラなど)。タイプ4は、放水口近くではほとんどみられず、離れたところに多く分布します(クロホシイシモチ、スズメダイなど)。
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