|
|
---アナゴ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
今回のテーマは、江戸前寿司やテンプラの代表とも言えるアナゴ(アナゴ目アナゴ科)です。
アナゴは、ウナギによく似た細長い円筒形の体型を持つ海水魚ですが、ウナギと違って鱗がありません。
アナゴは、熱帯から温帯の海に広く生息し、かつ砂泥域のみならず岩礁域、浅海だけでなく深海を好むものなど、様々な環境を好む多くの種類があり、マアナゴ、ゴテンアナゴ、ギンアナゴ、クロアナゴ、キリアナゴ、チンアナゴ等150以上の種がありますが、日本で食用にされるアナゴと言えば、浅い海の砂泥底に棲む「マアナゴ」を指すことが多いようです。
穴子の名は、昼間は海底の砂泥中や岩石の隙間に棲んで、巣穴から頭だけ或いは半身を海中に乗り出していることから付けられたものです。
マアナゴは、成魚の体長が30cmから70cm程で、夜行性であり、夜になると巣穴から這いだしてきて、小魚・甲殻類・貝類・頭足類・ゴカイ等の小動物を捕食するので、穴子釣りは専ら夜釣りとなります。 |
|
アナゴの稚魚の異名。穴子は5、6月に1尾が1千万粒もの細かい浮遊卵を産む。孵化して1年くらいは鰻の稚魚と同じように、親とは全く別の姿のレプトセファルスと呼ばれる形で、海中を浮遊しながら成長し、やがて変態して穴子になる。
稚魚のレプトセファルスは柳の葉のような平たい透き通った形で、シラウオを押し潰した様な形にも見えることから、俗に「白魚のオバ」とも呼ばれる。オバには姥の字が当てられる。
夏の魚、穴子釣りに言う。1年で最も暑い三伏(さんぷく)の候に良く釣れ、食べても旨いので、こんな言葉が生まれた。
三伏とは、陰陽五行説の選日である「初伏」、「中伏」、「末伏」をあわせた日で、夏の盛りの間の3回の庚(かのえ)の日を指す。
陰陽五行説では、庚は「金の兄」であるが、金は火に伏せられる(火剋金)とされ、火性の最も盛んな夏の時期の3回の庚の日は特に凶日であるとして、種蒔き・療養・旅行・その他全てを慎むべき三伏としている。
三伏の日取りの決め方は、様々な説があるが、夏至以降3回目と4回目及び立秋以降最初の庚の日をそれぞれ初伏・中伏・末伏とするのが最も一般的である。
しかし、いずれの決め方にせよ、三伏は7月中旬から8月上旬の酷暑の頃であり、「三伏の候」「三伏の猛暑」など手紙の前文で、酷暑の頃を表す言葉として、今日も多く用いられている。
二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
飼育生物こぼれ話(1)アイゴ |
雑食性で海藻も食べる、アイゴを飼育しました。餌は安定して入手可能なコイ用配合飼料を、一年を通して与えました。しかし、この餌では成長はしたものの、繁殖期に自然産卵することはありませんでした。次に、この餌を与えつつ海藻の一種アラメを水槽に設置し、いつでもアラメを食べられるようにしました。すると、しばらくして自然産卵が確認されました。延々とアラメを食べる様子から、アイゴは必要があって海藻を食べていると思われましたが、アイゴの数次第では海の海藻が無くなってしまうのでは?という心配が昨今では出ています。
(実証試験場 応用生態グループ 磯野 良介)
|
|