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---タコ---
海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。 今回は、過去にVol.2でもお話しましたタコ(八腕形目マダコ科に分類されるマダコ、ミズダコ)。和名:真蛸、英名:Common octopusと和名:水蛸、地方名:オオダコ、マダコ(北海道)英名:North-Pacific giant octopusをご紹介します。
「タ」は手、「コ」は生き物への愛称語尾です。「手が多い生き物」の意味で、英名octopusは「8本足」の意味です。
タコの視覚と触覚は優れており、餌を捕るときは、主に眼で見て腕で触って確認します。
学習能力も優れており、透明な容器に餌を入れてタコの目の前におくと、容器を開けて餌を捕ります。ねじ口瓶の蓋も廻して開けられます。また、擬態能力にも優れており、白黒の明暗からなめらかさ、凹凸感まで、周りの景色に溶け込んでカモフラージュすることができます。マダコは全長60cm前後で、沿岸の砂礫底や、岩礁域に生息します。ミズダコは全長3m、体重20kgにもなる大ダコであり、水深200m以浅の岩礁域や砂礫底に生息します。ともに夜行性です。
主な漁法はタコ壺漁や釣り、底曳き網などです。マダコは日本各地で周年にわたって漁獲されます。漁獲盛期は茨城沖で11~1月、島根で9~11月。ミズダコは北海道の各地沿岸で漁獲され、5~8月、11~3月が漁期、水深100m前後の沖合が主漁場です。周年食べられ、生のものは塩をふって揉み洗いし、ゆでて刺身としてわさび醤油や酢味噌で食べたり鮨種にします。たこ焼きやおでん、鍋物の具、サラダ等に幅広く利用されます。
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「茹で蛸」「茹で蛸野郎」ともいう。茹で上がったばかりのタコは赤くて湯気が立っている。人が酒を飲んだり、風呂から上がったりして顔が赤くなったり、または非常に怒ってカッとのぼせたときのさまをいう。
「鼠と猫」と同義語。タコはイセエビが大好物。硬い殻も何のその、あの鋭いカラストンビで忽ち餌食にしてしまう。窮鼠猫を噛むが、イセエビがタコを噛むことはなく、何時も負け戦になるので、逃げるが勝ち。そのタコもウツボには敵わない。
タコは食べ物がないとき、自分の手(足)を食うという俗説から、各人が持参したものを食べ尽くして、もう食べる物がなくなり、会合を終わるときに言う言葉、<対馬南部方言集>。単に「蛸の手」といえば、大根の葉のこと。形からの連想であろうか。
大雨が続くと蛸漁は休漁。塩分が薄まるとタコは元気喪失、じっとして動かない。タコを殺すに刃物は要らない。真水に浸けるとイチコロ。飯蛸も同じ。釣りには確かな腕とカン・コツも必要だが、こうした知識も必要不可欠。
「現代おさかな事典」エヌ・ティー・エス、二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
CO2が海洋生物に及ぼす影響(4) |
ここ最近、新聞や雑誌などで「海洋酸性化」という言葉を目にする機会が増えています。酸性・アルカリ性と言えば赤・青に変化するリトマス試験紙を使って実験したことを思い出します。酸性かアルカリ性かはpH(水素イオン濃度)の数値で表しますが、中性はpH=7、それより低いと酸性、それより高いとアルカリ性になります。しかし海洋酸性化が意味する「酸性化」は、海水が酸性になるのではなく、本来8前後である海水のpHが酸性側に傾くこと(pHが下がること)を問題にしています。「海洋酸性化」は、大気中のCO2濃度が増加し、増加したCO2が海に溶けこみ、化学反応により海水のpHが下がることを意味します。海洋酸性化が海の生物や環境にどのような変化をもたらすのか、世界各国で様々な研究が行われております。例えばエビ・カニや貝類など、炭酸カルシウムの殻を持つ生物に対しては、殻が正常に形成されないといった報告があります。海生研ではこのような海洋酸性化についても、研究に取り組んでいます。
(事務局 研究企画グループ 吉川貴志)
海洋生物に対する海洋酸性化の影響は?
(写真は正常な個体)
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