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---マイワシ---
海とその生物にまつわる名前の由来についてお話ししましょう。
今回は、Vol.3でも取り上げたマイワシ(ニシン目ニシン科マイワシ属)、真鰯・真鰮、英名:Japanese pilchard、sardine、Spotline sardineをご紹介します。
一般に、成長によりマシラス(全長2cm前後)、ヒラゴ・カエリ(4cm前後)、小羽(10cm以下)、中羽(15cm前後)、大羽(18cm以上)と呼び分けます。
名前の由来は、生臭く、たくさん獲れるために値も安く、「賤しい」者が食べるからというのが一説。横腹の黒い点が一列に並ぶところから「七つ星」とも呼ばれます。
日本各地の沿岸の表層域に生息し、大きな群れを作ります。水温が10~20℃の産卵期に、日没から真夜中にかけて産卵します。
大半は巻網により、他に定置網、刺網などでも漁獲されます。日本全国の沿岸域で周年にわたって広く漁獲され、盛漁期は魚体の大きさによって異なります。
旬は、シラスでは春。成魚は8~10月頃が脂が乗り食べ頃です。鮮魚は刺身から乾物、洋風料理までさまざまに調理されます。手開きできるほど新鮮なものは、刺身にして生姜で食べると臭みもなく美味。煮付ける場合は生姜や梅干を入れると良いでしょう。
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下賤な魚とされ勝ちなイワシだが、これ程「人口に膾炙」した魚もあるまい。漁れ立てのものを浜で焼いて食べると食欲はきりがない。鮮度の良いものは何でも旨く食べられることの例え。しかし、この手のイワシなら、焼くことなく指でしごいて骨を取り、さっと海水で洗って食べればさらに旨い。
タイは姿も色も味も値段も魚の王様。淡白で癖がなく万人向き。養殖技術が進んだとはいえ、少々値が張る。その点、イワシは大衆魚で下魚扱い。例えるなら‘月とすっぽん,。そしてイワシは脂肪が強くて生臭い。だが、生臭みを落とせばその味、満更でもない。「鰯千度鯛の味」。またイワシは「鰯にまずいものなし」で、どこの産でも旨く脂肪の多寡に拘わらず鮮度がよければうまい魚。
「鶏口となるとも牛後となる勿れ」と同義語。大きな団体の一員で甘んじるより、小さな組織でもその長となる方がよいということの例え。また、名を捨てて実を取ることにも例えられる。栄養価を比較してもタイの尻尾よりイワシの頭の方が数段も上である。
イワシは、カツオやマグロの最上の餌であるということ<磐城地方の言葉>。すなわち、「海の牧草」ということ。また、イワシが漁れていれば、漁師の口は安泰。一方、漁師はタイやヒラメなどの高級魚は魚市場に出荷し、イワシのような雑魚を食べている、とも解釈出来る。
「現代おさかな事典」エヌ・ティー・エス、二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。
お魚、何、食べてますか?(3) |
ダイオキシン類は、その大部分が食物を介して人間に摂取されています。日本人の場合、魚介類からの摂取量が多いのが特徴ですが、総摂取量は近年減少傾向にあり、下図のように国の基準(4pg-TEQ)を大きく下回っています。
魚介類から摂取するダイオキシン類については、厚生労働省が毎年、全国各地で食べられている魚介類に関する聞き取り調査を行い、この結果に基づいて摂取量を計算しています。 地域毎のダイオキシン類摂取量には開きがみられますが、これは食べる魚介類の種類の違いによるものと解釈され、海の豆知識(Vol.52)でもご紹介したように、地元で多く獲れる魚介類をよりたくさん食べられることが反映されているとも考えられます。栄養豊かな旬の魚介類をバランスよく食べるようにしたいものです。
(事務局研究調査グループ 柴崎道廣)
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