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---関東編①---
県の花や県の鳥の様に、全国の都道府県の内、半数以上の県がシンボルとして「県の魚」を制定しています。またシンボルとしての「県の魚」とは別に、それぞれの県の特色ある複数種を選定した「旬の魚・四季の魚」を制定しているところもあります。
ここでは「県の魚」※にまつわるお話しをしましょう。今回は、関東地方です。
※各都道府県の公式ウェブサイトにおいて、県の花や県の鳥と同様に、都道府県のシンボルとして紹介されているものを、「県の魚」としています。
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関東地方南東部に位置し、県土の多くが房総半島に含まれ、西側には東京湾、南から東側には太平洋が広がり、海生研中央研究所も所在する千葉県。この県の魚は、タイです。
タイは、スズキ目タイ科に含まれる魚類の総称です。その中でも最も代表的な種は、マダイ(学名:Pagrus major)です。マダイは日本列島のほぼ全域、水深30~200mの岩礁域や砂礫の底層に生息しています。ご存じのとおりマダイは、味はもちろんのこと、姿形や色合いも良く、祝い事には欠かせない魚であり、「海産魚の王様」と称されています。また産卵前の桜の季節には、色鮮やかで脂ものっており、「桜鯛」と称され珍重されます。
千葉県鴨川市小湊地先には、鯛の浦と呼ばれる海域があります。本来は深場で群れを成さずに暮らすマダイですが、水深10~20m程度と浅いこの鯛の浦では群れを成して生息しています。世界的にも珍しいこの生息域は、「鯛の浦タイ生息地」として昭和42年に国の特別天然記念物に指定されました。
千葉県ホームページによると、千葉県にゆかりが深く、明るいイメージをもち、本県の発展を象徴するにふさわしい魚として、平成元年2月に県の魚に選ばれました。
▶千葉県ホームページ〉…〉千葉県のシンボル
http://www.pref.chiba.lg.jp/kouhou/profile/symbol.html
日本列島の内陸中央部、関東地方北西部に位置し、県南部には関東平野、県北西部には自然豊かな山地を有し、利根川の上流域にあたる群馬県。海のないこの県の魚は、アユ(学名:Plecoglossus altivelis)です。
アユは、日本列島を中心に、朝鮮半島や台湾、中国南東部の河川や湖に生息するサケ目アユ科の魚です。河川の下流域で生まれたアユの仔稚魚は、海に下って冬を過ごし、春になると河川を遡上します。河川の上中流域で、川底の石に付着した藻類を主食に成長したアユは、秋になると下流域に移動し、産卵の後、1年の短い生涯を終えます。付着藻類が豊富な清流を好むアユは、姿形も美しく「清流の女王」とも称され、毎年6月の解禁日を待ち焦がれる釣り人も少なくありません。
群馬県ホームページによると、アユは県内の利根川水系の各河川で多く見られ、清流に生息すること、遊漁等で多くの県民に親しまれていることなどから、海無し県では初めて平成元年5月に、県の魚に選ばれました。昭和45年からアユの人工種苗生産技術開発研究を手がけ、現在では大量種苗生産技術が確立された同県では、「ぐんまのアユ」の復活に向けて、様々な取り組みが行われています。
▶群馬県ホームページ〉…〉シンボル
http://www.pref.gunma.jp/01/b2110040.html
注)県のシンボルが掲載されているウェブページ(URL)は、本紙発行時のもので、予期せず変更されることがあります。
微小生物の取水取り込み影響(1) |
沿岸に立地した火力・原子力発電所では、冷却水として主に海水が用いられます。取水口周辺に存在する植物・動物プランクトン等の微小生物は、冷却水と共に発電所内に取り込まれ、水路への生物付着防止のために注入される塩素等による「化学的影響」、取水ポンプや取放水路を通過する際の圧力変化や衝突による「機械的影響」、また復水器における熱交換による「昇温影響」、さらに取放水路内に付着したフジツボ類やイガイ類等による「生物捕食」を受けます(下図参照)。
海生研では、全国を北方・中部・南方の3海域に分け、各海域の代表的な火力発電所を1か所ずつ選定し、運転条件の異なる時(発電の有無や塩素注入の有無)に、取水口、取水ピット(取水ポンプ手前)及び放水口においてプランクトンを採集し比較することで、要因別の影響度を求めました。
次回、植物プランクトンの結果についてご紹介します。
(事務局 研究企画調査グループ 山田 裕)
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