試験生物飼育技術を応用した地域貢献
 これまで海生研で行ってきた試験生物の飼育、繁殖技術の開発の中で培った技術を応用して、漁業資源の増大を目的とした種苗生産技術の開発や、電源立地地域の振興に資する海産生物の人工飼育、繁殖に取り組んでいます。

■新規栽培対象魚種の技術開発
 漁業者から放流の要望が強いアマダイ類について、人工飼育下で良質な受精卵を安定的に得ることを目標に、飼育実験により性分化過程の解明や成魚の繁殖条件の検討を行っています。
   
 
アカアマダイに生殖腺刺激ホルモンを注射   アカアマダイの生殖腺観察

■地域特産水産生物の飼育繁殖

◎ヒゲソリダイ:地元における新規養殖対象魚の開発
 柏崎市の漁業者から要望を受け、養殖技術の開発を開始しました。2017年に種苗生産に成功し、1年2ヶ月後には産卵に成功(完全養殖)、養殖種苗の確保が可能となりました。近年、世界的に海水温上昇が問題とされている中、高水温でも成長が可能な新しい養殖魚としても期待できる魚です。
 
生産時の飼育密度等を検討し、
生産技術の高度化を目指しています。

◎サクラマス:養殖のための海水飼育技術の開発

 中央研究所柏崎支所では、新潟県において漁獲量が減少しているサクラマスを淡水および海水の水槽内で飼育し、陸上養殖の可能性を検討しています。これまでの飼育実験で、スモルト化や海水馴致の最適化を検討し、陸上施設を用いた完全陸上養殖に成功しました。
 
大型化が見込まれる降海型種苗の
早期作出を目指しています。


種苗生産されたヒゲソリダイ

海水で育成したサクラマス