東京湾における環境放射能調査
 閉鎖性海域である東京湾では、東電福島第一原子力発電所事故により環境中へ放出された放射性物質が河川を通じて流入、蓄積することが懸念されます。東京湾では国の事業として2013(平成25)年度より海水および海底土に含まれる放射性物質を定量的に把握する調査が実施されており、2018年度より海生研が調査事業を受託、実施しています。
 
■調査結果および現況の評価
 東京湾内に設定した23測点において海水および海底土を採取し、試料に含まれるセシウム-137およびセシウム-134を分析しています。
 

東京湾海水のセシウム-137濃度の経年変化および調査測点
東京湾海底土のセシウム-137濃度の経年変化および調査測点
 
 
水中ポンプによる採水作業   採泥器による採泥作業
     
 
調査対象測点で採取された海底土   高純度ゲルマニウム半導体検出器
による放射性核種の同定・定量

 東京湾で採取した海水に含まれるセシウム-137の濃度は、東電福島第一原子力発電所事故直後に上昇した後、翌年には顕著な減少傾向が見られました。現在は緩やかな減少傾向を示しています。
 表層海底土(0~3cm)に含まれるセシウム-137の濃度についても、東電福島第一原発事故後に上昇しましたが、緩やかな減少傾向を示しています。しかし海水と比較すると、測点間のばらつきが大きく、減少速度が遅い傾向にあります。